という事でマクロス小話です、しかもランカ話です。
本編があまりにもアレな感じだったので自分で補完です(笑)
時間軸的には最終回のすぐ後くらいで。
ついでにブレラン風味でコソリとアルシェリです。
私は所詮アルシェリ脳。アルシェリBANZAI★(笑)
長いのでたたみますー。
「さすが丘の上だと風が気持ちいいなー」
本物の青空の下、心地よい風共にランカは丘の上でいた。
最初は少し散歩をするだけだったのに遠くまで来てしまっていた。
「こんな所まで散歩する予定じゃなかったんだけどなー」
まっ、いっか! 空もこんなにキレイだし、と納得しようとした…
けれども、そこですぐ頭に浮かんだのは心配性の兄2人だった。
お兄ちゃん達心配するかな?
…でも明るい内に帰れば大丈夫だよね?
うん、うんと再度納得し丘の上に腰を下ろした。
「わー綺麗な青空、今日は快晴だね!」
上を向けば視界には空と雲しかない。
そこから見えるのは一面の青、蒼、碧、あお…
どこから見ても同じ色など無い。
これがあの人の好きな空…
これがあの人の瞳と同じ色…
そんな事を考えていると、ふっとある言葉が頭に浮かんでは消える。
その言葉をなんとなく言葉を口に出してみた。
「初恋は実らない…か…」
誰に言うのではなく自分に言い聞かせるように呟いた。
何で自分はこの言葉を知ったのだろう?記憶の中を辿っていく。
…そういえば古めかしい雑誌で見たような気がする。
あの頃の自分は憧れや、夢見る気持ちの方が大きく
その言葉は意味が分からなかったのを覚えている。
思えばいつか願いは叶う、例えば夢などはコレに該当するのだろう。
では人の気持ちは?
少し前の自分がそうであったように、
自分の気持ちを言えば必ず受け止めてくれると思っていた…
けれどもそれは気持ちを押しつけるだけではないのだろうか?
だとするとその人の想いは?心は?
いったい何処へ行くのだろうか?
言い換えればそれはとても身勝手な想いだと思う。
初恋とは幼い恋心を示しているのではないのかと…
好きという気持ち、それだけが全部、それ以上でも以下でもない
だとすると何となく、さっきの言葉の意味も理解できる。
…今思うと昔の自分が如何に周りが見えていないのか分かる。
けれども、それでも、あの想いは本物だったのだ。
まぎれもなく自分の中で一番大切なモノで、全てだった。
だから自分の思うまま行動もした。
たくさんの想いを傷つけた。
昔ならそれでも自分は!と思えたろう。
…でも今は、色んなのモノを見て、聞き、そして感じた。
今ならあの時の自分の行動に疑問を持つことが出来る。
少しは成長してるのかな?
フフッとランカはくすぐったくて暖かい気持ちになった。
そう思えるようになったのも、自分の側にいてくれる人達のおかげだと思う。
これ以上自分に優しくしてどうするのだろうと思う兄2人。
自分の為に危険を承知で助けに来てくれたあの人。
その優しい瞳で、声で、自分を包んでくれたあの人。
あの時フォールド波の中で感じた2人の想い。
たくさん、たくさん伝えたい、感謝の気持ち
言葉で言い表せないくらい、たくさんある…
それはきっと2人が自分にくれた気持ちのほんの少しかも知れない
それでもあの優しい人達に…伝えたいのだ。
今ランカは心からそう想う。
そして…あの時気付いた2人の気持ち。
何故だろう…不思議と辛くはない。
いや、もしかしたら辛いのかもしれない
でも、それ以上にあの人達が私は大好きなのだと思う。
大好きな、大好きな優しい人達
「…お互いを想いあう気持か…」
自分の顔が緩んでいくのが分かる。
こんなやさしい気持ちになれるなんて知らなかった。
それもあの人達から教えて貰った。
幼い恋は叶わなかったけど、かけがいのないモノを知った。
恋も歌もまだまだスタート地点な私だけど…
いつか、あの人達に胸を張って言えるようになりたい。
でも…今は…
「ランカ!!」
その声で一気に意識が現実に引き戻された。
周りを見ると太陽がさっきより随分と傾いている。
どうやらいつの間にか結構な時間が過ぎていたらしい。
「お兄ちゃん!」
振り向くとそこにはいつもの冷静な顔が見えた。
彼を知る者でも見分けがつくか分からない、いつもと同じ声
だがランカは知っている、そんなのは嘘だと。
自分を心配して探しに来てくれたんだと分かる。
声で、気配で、その全てで分かるのだ。
さっきの声も自分を探して焦って見つけて安堵した…そんな声なのだ。
「ごめんね?ブレラお兄ちゃん心配させちゃって」
えへへ★でも大丈夫だよ!と伝える
「…それならばいい…」
「うん!」
「だが行き先だけは告げろ…俺もオズマも心配する…」
そう言って優しく頭を撫でてくれる手が心地良い。
こんなに心配してくれる人がいる。
何て自分は幸せなんだろうと思う。
それはとても贅沢なモノではないかとも思う。
「ね…お兄ちゃん…」
「なんだ?」
「手…繋いでいい?」
そう言うと、そっと無言で差し出される無防備な手
「ありがと!お兄ちゃん!大好き!」
ぎゅっと強く握ると握り返してくれる手
…今はこの温もりを離したくないという
思いが私の胸の中を占めている。
この気持ちは…なんだろう…?
<終>
ーおまけー
「ばかアルト!ランカちゃん探してあたし達が迷子になってどうするのよ!」
「何いってんだ!馬鹿!だから俺は慎重にって言ったんだ!」
ランカが帰って来ないとオズマから聞き、この2人もランカを探しにきたのだ
探すと言ったまで良かったのだが、案の定シェリルが
先走ってしまい…結局道に迷ってしまったのだった・・・
「ううう…すごいバカみたいじゃない…あたし達…」
枯れ木と泥でぼろぼろになった衣服を見ながら
シェリルは溜息混じりにアルトに告げる
「そうか?…俺はそうでもないけど?」
「え?」
意外な返答にシェリルはアルトに何で?と聞き返す。
「それは…」
そういうとアルトはそっとシェリルの耳元で言葉を告げる。
その瞬間シェリルの顔が耳まで真っ赤になった
「アルトの分際で生意気よっ!!!!!!!」
そう言いながらアルトを背中を叩きだすシェリル
「いてっいたた、いてー!!!!何すんだシェリル!」
「あ、あああああんたが変な事言うからでしょ!!!!バカ、バカ!!」
ーだってそのお陰で2人で一緒にいれるだろ?ー
・・・この後心配で探しに来てくれたクランに無事発見されるのだが、
それは今から数時間後の事だった・・・・。
PR