桃色商店

最終回直後なシェリル小話です。
思いの外長くなった上に続きものです。
（イラスト細部間違ってますが気にせずに＞笑）

「バカが飛んでくわ…」


一陣の風のように自由に空を飛ぶアルト

…よかった。
彼のその姿を見てあたしは心の底から安堵していた

あなたには何の枷もなく空を飛んで欲しかった
あたしはあなたにいっぱい足枷をしてしまったから…
あなたの優しさに…甘えてしまっていたから…

でもそれも、もうお終い



最期まで一緒にいると言ってくれた日から
…あなたは優しかった…ただただ優しかった
ただの女の子のようにあなたに寄り添いたかった…

でもね、それじゃ”シェリル・ノーム”じゃなくなるの
あたしは最後まで銀河の妖精”シェリル・ノーム”じゃ
なくちゃいけないの
ただのシェリルなんて誰もいらないの…
だから、だからね、もう一度あたしは虚勢を張り続けた…


”シェリル・ノーム”ならこういう態度を…
”シェリル・ノーム”ならこんな事は言わない
”シェリル・ノーム”は…

そう言い聞かせてあなたとの仮初めの生活を過ごした…



でもね、本当は…本当はね
泣きそうなほど…幸せだった…
何もない日もあれば、喧嘩をした日もあった…
そんな他愛ない日があたしにとっては
何もかも新鮮で…涙がでる程眩しい…

大切な日々だった

例え同情だったとしても…
偽りの感情だったとしても…
あたしはそれでよかった…








―…嘘、嘘よ…嘘……

心の何処かではあなたの気持ちを欲しがってる自分がいた
あなたがほんの少しでもあたしに気持ちを
傾けてくれるのを望んでいたの…

でもそれと同じくらい、
このままで、偽りでもいい…同情でもいい…
嘘でもいいからあたしのことを好きだと…あたしに錯覚させて？
そうしたらあたしは最後の瞬間まで夢を見続けてられるって思ったわ…

…だから全て終えたら話を聞く、そんなの嘘なの

夢から覚めたくなかった…
夢を見たまま消えたかった…
最後くらい”シェリル・ノーム”としてじゃなく
１人の女の子…シェリルとしてあなたの元を去りたかった…

けれどあたしは今生きている…
あたしの、あなたの、大事なあの子のお陰で生きている



「シェリル！ランカ！」
嬉しそうに、楽しそうに名前を呼ぶあなた…
なんだか空にとけ込んでいる
あなたをたいつもより眩しく感じる

「ホント…空が好きなんだから」
「だって…それがアルトくんですもん！ふふ」
アルトを見つめながら嬉しいそうに隣ではにかむ少女
あたしには…無理だったけど…あなたなら大丈夫ね…

「…そうね、それがアルトね…」
「はいっ！」
うん…お願いね…あの人のこと


…こうやって地上からあなたを見守るのも
これで最後かと思うと胸が痛いような苦しいような気持ちになる
だってそうよね、悔しいけど…
あたしはあなたの事を愛してるんですもの…
「…息が詰まりそう…」
「…シェリルさん…？」
「あ、ううん、なんでもないわ」
頬にあたる風が勢いを増してくる
ああ…あの人が風と一緒にこっちへ向かってきているのね
そう思うと、どうしてもあの人の姿を見たくて
視線は空へと移ってしまう

「アルト…」


ああ、思った通り…
貴方は本当に空がよく似合う…

大丈夫、もうたくさん貰ったわ…
だから…大丈夫、大丈夫よ
この景色を胸に抱いてあたしは再び旅立つわ

―決意は固まった。





「…バイバイ…アルト」

最初で最後のあたしが愛した人―…

（NEXTアルトSIDE）

すみません、何か中途半端で（汗）
次のアルト視点で補完します。
ここまで読んでいただいて有り難うございました！
こんなアルシェリも有りかな〜と
思っていただければ幸いです（＾＾；；）